【特別講演（大会準備委員会企画）】

『ダンゴムシのこころと行動抑制ネットワーク理論』

講演者：森山　徹（信州大学繊維学部准教授）
司会：佐藤広英（信州大学）

要旨：「心」を辞書でひくと、「人間の精神作用を司る器官」とある。一方、ペットを飼う人々の多くは、彼らに心があると感じているだろう。では、人間とペットに共通の「心」とは何であろう。それは「わからなさ」であると、私は考えている。たとえば、私が図書館で本を読むとする。この時、お気に入りの音楽を思い出し踊ってしまうと、私は「わからない人」として扱われる。踊る他にも、走る、寝るなど多くの余計な行動が出現を控えている。にもかかわらず私が本を読めるのは、余計な行動の発現機構が互いに行動の出現を抑制し合っているからだと考えられる。このように、「余計な行動を抑え、わからなさを抱えておく仕組み」が、「行動抑制ネットワーク」である。このネットワークは外から見えず、その形は余計な行動の数が刻々と変わるにつれて移ろう。このように、私たちの内に潜み姿が不定な存在、それはまさしく心だろう。行動抑制ネットワークは外から見えないのでその存在を確かめようがなさそうである。しかし、ネットワークが抑制をはずして余計な行動を解放する現象を通しその存在を垣間見ることができる。私たちはこれまでに、ダンゴムシに余計な行動の解放を促す実験を行ってきた。たとえばゴールのない無限T字迷路に投入すると、彼らは「壁登り」を解放させ迷路から抜け出した。また、背中合わせで2匹を糸でつなぐ実験では、「馬乗り」を解放させ合体移動することで終わらない綱引きから脱した。ダンゴムシは、想定外の状況に置かれると余計な行動を自ら解放させ、行動抑制ネットワークの働きを見せてくれる。翻って、ヒトに余計な行動の解放を促す想定外の状況とはどのようなものなのだろうか。それを探るには、ヒトの精神を探る専門家との深い議論が必要だろう。
 

【招待講演（経常的研究交流委員会・大会準備委員会企画）】

『Putting Regional Personality on the Map』
講演者：Friedrich M. Götz (Department of Psychology, University of British Columbia)
Google Scholar Profile：https://scholar.google.com/citations?user=lPknh6YAAAAJ&hl=en
司会：吉野伸哉（公益財団法人医療科学研究所）

Abstract: Nobody lives in a vacuum. Whoever we are and wherever we go, every second of our existence is spent in a physical and sociocultural environment that we inevitably interact with. Building on this simple fact of life, in the present talk I argue that geography is foundational to psychology and vice versa. To support this claim, I first introduce the Geographical-Psychological Interactionist Framework, a novel conceptual framework to systematise and guide research at the nexus of psychology and geography. I then present original empirical findings that combine large-scale geo-tagged personality datasets with diverse real-world behavioral outcomes and ecological indicators (e.g., housing prices, personal financial records, patent production rates) across multiple countries (e.g., India, Japan, USA) and spatial levels (e.g., states, cities). Collective, these studies 1) demonstrate systematic regional variation in Big Five personality traits, cultural tightness, courage, and loneliness, 2) identify various ecological (e.g., mountainousness, walkability, climate), sociocultural (e.g., frontier spirit), and economic factors that may contribute to geographical psychological differences, and 3) show how regional psychological differences contribute to outcomes as diverse as suicide rates and individual spending. I conclude with personal reflections, future research directions, and a list of resources for interested researchers and practitioners.
 

【大会準備委員会企画シンポジウム】

1. 『信州における岳問のススメー深山幽谷に心理学を養うー（仮）』

企画：大会準備委員会
司会：菊池　聡（信州大学地域防災減災センター長）
話題提供：菊池　聡　（信州大学地域防災減災センター長）#　
話題提供：岡本卓也　（信州大学）　#
話題提供：矢原ひかり（信州大学）#
指定討論：武田美亜（青山学院大学）
概要：日本は、その国土の75％が山地で占められ、そのほとんどが森林であるという山岳国家である。中でも長野県は標高1,000m以上の土地が県全体の約55%を占め、平均標高が1132ｍ(全国1位)になる。その厳しくも美しい山岳環境とそこで培われた風土は、そこに生きる人々に独自の心理、文化、社会を形作っている。本企画においては、そうした信州と山岳地帯に見られる人の行動や心理という切り口から話題提供を行い、本学会で信州を訪ねた方々とともに、岳問の高地トレーニングを楽しみたい。
 

2. 『パーソナリティ症における記憶の歪み』

企画：大会準備委員会
司会：松本　昇（信州大学）
話題提供：松本　昇（信州大学）#
話題提供：田上恭子（久留米大学）#
話題提供：櫛引夏歩（弘前大学）
指定討論：林　直樹（西ヶ原病院）#
概要：本シンポジウムでは，特にB群パーソナリティ症の記憶の歪みに焦点を当てて，その現象学的性質や，False memoryや自己呈示の文脈における機能について議論する。
 

3. 『仮想空間とパーソナリティ（仮）』

企画：大会準備委員会
司会：三和秀平（信州大学）
話題提供：藤澤　文（鎌倉女子大学）
話題提供：市村賢士郎（独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構）#
話題提供：三和秀平（信州大学）
指定討論：佐藤広英（信州大学）
概要：本シンポジウムでは，仮想空間上での実践をしている研究者を招き，仮想空間での心理学研究の特徴やメリット / デメリットおよび今後の発展について考えていく。
 

【経常的研究交流委員会企画シンポジウム】

『人が他人を助けるとき―援助行動研究の新たな視座―』

企画：日本パーソナリティ心理学会 経常的研究交流委員会
司会：臼倉　瞳（東北学院大学）
話題提供：内山有美（鳴門教育大学）
話題提供：登張真稲（文教大学）
話題提供：下司忠大（立正大学）
指定討論：小田　亮（名古屋工業大学）
概要：独自の着眼点で援助行動にまつわる研究に取り組む研究者を招き，「人が他人を助ける」ことに関して，研究の発展可能性や社会への知見の応用について議論する。

理事会

1日目の10月4日（土）の昼休みに対面で開催の予定です。詳細は決まり次第，学会事務局より理事・監事の皆様にお知らせいたします。
 

総会

大会1日目の10月4日（土）の17:00～18:00（発表プログラム終了後），懇親会の前の時間帯に，Web 会議システムと対面のハイブリッドで開催の予定です。
 

懇親会

大会1日目の10月4日（土）18 時30分から，肉ビストロmatsumotoMt.BARUにて開催いたします（総会後，大会会場からバスで送迎いたします）。参加希望の方には事前（早期期間・予約期間）に予約していただく形になります。予約参加のみで先着順60名までといたしますので，お早めにお申し込みください。参加費は「大会までの予定と大会諸費用」に記載の通りです。
 

ヤングサイコロジストプログラム（YPP）

『研究ネットワークを広げよう －"これまで"を深め、"これから"を創る－』

 
企画内容：研究やこれからの歩みについて，同じような立場の仲間と語り合う。ヤングサイコロジストプログラム (YPP) は，若手研究者が肩の力を抜いて交流する場所です。大学・職場・専門領域を越えて新たな仲間とつながる場として，多くの方々にご好評いただいています。今年のYPPでは，研究生活の実情を語り合い，関心のあるキーワードについて議論します。これまでの歩みを見つめ直し，これからのつながりの種を育てていく。そんな時間を，松本の地でご一緒できると嬉しいです。ぜひお気軽にご参加ください。
 
企画：戸田晃大 (九州大学)，久保田晶乃 (法政大学)，有海春輝 (京都大学)，松崎美奈子 (早稲田大学)
主催：日本パーソナリティ心理学会広報委員会
※開催日時・場所は決まり次第お知らせします。
 

ミドルサイコロジストプログラム（MPP）

『工夫やコツを教えてください！―大学教員・研究者のゆとりをつくるには？―』

企画内容：腰を据えて研究をしたい・・・けれども授業や研究以外の業務，そしてプライベートなことなど，キャリアを重ねるほど，研究の時間や心の余裕を持つことが難しくなってくるように感じます。今回のMPP企画では，大学教員・研究者のワークライフバランスに注目し，仕事上おこる“あるある”な話題を提供しながら，忙しい中で研究などの時間のゆとりをつくるちょっとした時間管理の工夫，研究のモチベーションを保つための自分なりの秘訣などを共有することを目的とした企画を計画しています。

企画：大浦真一（東海学院大学），阿部夏希（長野大学），西川一二（大阪商業大学）
主催：日本パーソナリティ心理学会経常的研究交流委員会
※開催日時・場所は決まり次第お知らせします。